リアブレーキに絞ったお話ですが、理由があります。
リアブレーキがほとんど効かない状態で入庫した車両の修理をした事があります。
これはクラシックカーに限った話ではなく調整方法を正しく認識されないことで引き起こされた”人災”でした。
実例でお話をします。
とある、お客様のモーリス・マイナーが「ブレーキを調節してもらったら効きがすごく弱くなった」ということで入庫してきました。
チェックを始めてすぐに「サイドブレーキワイヤー側の調節でブレーキ調整をした」とわかりました。
何が問題かというと、通常の英国車の殆どはサイドブレーキで調節するとリアブレーキが効かなくなります。
サイドブレーキ側で遊びを調節すると、フットブレーキ(油圧)系統のシリンダーが空振りのような状態になり、リアブレーキが効かなくなります。
自動車のドラムブレーキは自動調節機構を備えていたり、実際にサイドブレーキワイヤー側で調整するブレーキもありますが、英国車はリアブレーキの遊びを調節するアジャスターがほぼ備わっています。
この場合の解決としては以下の手順で調整を行います。
1. サイドブレーキワイヤーをフリーな状態にする。
2. リアドラムブレーキのアジャスターでシュー位置を調節する。
3. サイドブレーキの引きしろの調整をする。
繰り返しになりますが、自動調節機構があったり実際にサイドブレーキワイヤーしか調節箇所がない車両もありますが、それらは「そこで調節する機構」になっています。
有名どころのミニですら不適切な調整がされている車両が多いので、充分ご注意ください。