2021年11月27日土曜日

リアブレーキの調節

リアブレーキに絞ったお話ですが、理由があります。

リアブレーキがほとんど効かない状態で入庫した車両の修理をした事があります。
これはクラシックカーに限った話ではなく調整方法を正しく認識されないことで引き起こされた”人災”でした。

実例でお話をします。
とある、お客様のモーリス・マイナーが「ブレーキを調節してもらったら効きがすごく弱くなった」ということで入庫してきました。
チェックを始めてすぐに「サイドブレーキワイヤー側の調節でブレーキ調整をした」とわかりました。
何が問題かというと、通常の英国車の殆どはサイドブレーキで調節するとリアブレーキが効かなくなります。
サイドブレーキ側で遊びを調節すると、フットブレーキ(油圧)系統のシリンダーが空振りのような状態になり、リアブレーキが効かなくなります。

自動車のドラムブレーキは自動調節機構を備えていたり、実際にサイドブレーキワイヤー側で調整するブレーキもありますが、英国車はリアブレーキの遊びを調節するアジャスターがほぼ備わっています。

この場合の解決としては以下の手順で調整を行います。

1. サイドブレーキワイヤーをフリーな状態にする。
2. リアドラムブレーキのアジャスターでシュー位置を調節する。
3. サイドブレーキの引きしろの調整をする。

繰り返しになりますが、自動調節機構があったり実際にサイドブレーキワイヤーしか調節箇所がない車両もありますが、それらは「そこで調節する機構」になっています。

有名どころのミニですら不適切な調整がされている車両が多いので、充分ご注意ください。


2021年11月16日火曜日

これからクラシックカーを入手する人へ

これからクラシックカーを入手(譲渡・購入・引き継ぎなど)される方々へ、どうか知って欲しいことがいくつかあります。
今回はそのいくつかの1つのお話です。

自分の憧れや好みで自動車を選ぶのも決め手の一つですが、車を維持するにあたって「部品の入手に不安がない事」も条件の一つに入れていただきたい重要なポイントです。

部品が無い(入手性が悪い)と楽しめない・動かせない車になってしまいます。
部品がないということは

    ・今の消耗品を使い切る
    ・故障したら直せない

どちらかが発生した時点で動かせなくなってしまいます。
一点もので制作することで動かせますが、その費用は決して安くはありません。
(一部のレストア済み国産旧車が高騰しているのは部品の製作費も一因です)

もう一つ、部品の入手性にも繋がりますが「現存数が多い」車両も見逃せないポイントです。
現存数が多い車両には「国際規模のオーナーズクラブがある」可能性が高いです。
オーナーズクラブは同好の士が集うだけでなく、時として部品の共同購入組織としても機能します。

たまに現存台数が少ないもののオーナーズクラブが消耗品を提供している車両もありますので事前の情報収集も重要です。

2021年11月11日木曜日

ミニのラバーコーン

 人気・定番のクラシックカーのミニ(1959-1999)のお話です。

ミニのラバーコーンはだいたい10−15年周期で交換が必要なものです。
いままで十数年間の整備士としての経験の中で、古いラバーコーンを交換しないことで起きる色々な問題を見てきました。

次の写真の左側が新車から交換されたことがなかったであろうRover Mini 1.3iのフロントのラバーコーンで、右側が新品(これはmoulton Long rubber coneで標準+10mm)です。



ラバーコーンが左の状態になるとサスペンションはほとんど機能しなくなり、道路の継ぎ目などを乗り越える時などにミニが飛び跳ねるようになります。
よく「ミニは食後に乗れない」とか「乗せている荷物が跳ねる」などの話を聞きますが、これらは古いまま使われているラバーコーンが原因です。

ラバーコーンの硬さにもよりますが、一般道路で使用するものであれば非常にスムーズです。
もし乗り心地が気になるようでしたら、専門店などでのラバーコーンの点検をお勧めします。

2021年11月6日土曜日

自動車の配線

自動車の配線(英語の表記ではwiring loom , wiring harness)ですが、クラシックカーを乗る上で重要な要交換部品の一つです。
実車やインターネット上の写真で見る車両の多くは、新車当時の配線がそのままというものが珍しくありません。

車体やエンジン、マフラー、サスペンションなどと違って見た目にわかりやすく”壊れない”部品ですので、時間が経っても見た目には古くなったとか汚れたという変化しかありません。
私が知る範囲で配線が古いことによる症状ですが、
(個人的に経験の多いクラシックミニの症例)

・ヘッドライトが暗くなった(W数の大きいバルブの場合でも車検に不合格)
・ヘッドライトスイッチのボディが溶ける(Mk-III以降のスイッチボディはプラ製)
・エンジンが始動しづらい
・コンタクトポイントやイグニッションコイルの寿命が短くなった
・エンジンストールしやすくなった
・ヒューズが頻繁に切れる
・燃料ポンプがサボりがちになる
・キャブのセッティングを色々試しても調子が出きらない
・・・・・
挙げきれません。

英国車では15〜20年で交換するのが慣例と学びました。
これは経験則的にどの自動車でも当てはまると思います。

この記事をご覧になった方の中でも「はっきりとしない電気の不具合」の正体がはっきりしないというのがあればそれは、自動車の配線の交換時期かもしれません。
また、これからクラシックカーに乗り始めたいという人には電気配線が手に入る車種をお勧めします。

ページ開設しました

YK EnginneeringのサイトとしてBoggerページを開設いたしました。 このページから色々な情報発信や活動を伝えていきます。 問い合わせフォームもこのBlogger内にありますので、クラシックカーにまつわる相談から部品の入手問い合わせ、修理の相談なども対応いたします。

エンジンの点火時期とは?

エンジンの点火時期は何の為に管理されるのか? それはエンジンの効率を最大限に引き出すためです。 点火時期の点検の要否判断は色々ありますが、相談例からの共通点を挙げると「燃費が悪い」「坂道を登る際のトルクが細くなった」「エンジンの始動性が悪くなった気がする」というのがあります。 総...